今、麻雀AIであるSuphx(スーパーフェニックス)が打つ麻雀の戦術書を読んでます。
まだ読みかけなんですが、
「人間が完璧になることは無理だな」と改めて認識しました。
Suphxは、麻雀の打牌などに対して最適な手段を取ります。
どんなに複雑な状況であっても、設定されたルールに従い、短時間で最適解を出します。
麻雀には、牌効率っていうものがあります。
麻雀を打っている人ならば、聞いたことがある専門用語ですね。
牌効率を一言で説明するならば、
「上がる確率を高くする麻雀の打ち方」です。
麻雀が複雑なゲームであると言われる要素の1つが、この牌効率です。
麻雀は、4つの面子(メンツ)、1つの頭というグループをつくるゲームですね。
同種類の234、または同種類の666のような面子グループを4つ、同種類の22のような頭グループを1つ作ればいい。
単なるグループ作りに見えるのですが、これが難しい。
例えば、下の図1のように手牌で、8ソウを引いたとします。
(牌効率だけを考えたいので、相手がリーチしているかなどの状況は無視します。)
図1 テンパイまで残り1手の状況で、8ソウを引いたきた手牌
すでに2面子(萬子の234と345)と頭(ソウズの88)が完成していますので、残り2面子を完成させる必要があります。
この8ソウ引きではテンパイ、つまり4面子1頭が完成する一つ手前の状態にはなりません。
では、8ソウは他の牌と入れ替えず、そのまま捨ててよいでしょうか。
実は、テンパイの確率を上げたいならば、7ソウと8ソウを入れ替えた方がいいです。
つまり、図2のようにした方が上がる確率は高くなります。
図2 図1の手牌で7ソウを捨てて8ソウを入れた後の手
図1で、8ソウを手中の7ソウと入れ替えないor入れ替えた場合では、どれくらい有効牌の種類と枚数が変わるか?
・入れ替えない場合の有効牌は、ピンズの1,4,6,9の4種類16枚。
(麻雀は同じ牌が4枚ずつあります)
・入れ替えた場合の有効牌は、1,2,3,4,6,7,8,9ピンの8種28枚。
(2,3,7,8ピンは手中で1枚ずつ使っているので、この4種類は3枚ずつ残っています。
このように入れ替えるだけで、有効牌の種類と枚数が2倍近く増えることがわかると思います。
この例は、ものすごく簡単な状況です。
では、図3,4のような手ならどうでしょうか。
図3 テンパイまであと1手の状況で、6萬を引いたきた手牌
図4 テンパイしている状況(1,2,3,4萬待ち)で、5萬を引いたきた手牌
図3,4 で一番有効牌の種類と枚数が多くなる選択を5秒以内にできますか?
答えを言うと、
図3→引いてきた6萬を7ソウと入れ替える
図4→引いてきた5萬を1萬と入れ替える
AIは、これを短時間で正解を出します。
では、人間はどうでしょうか。
きっと多くの人が間違えるだろうし、答えを出す時間がAIよりも長いでしょう。
今回の牌効率問題は、自分の手牌のみに注目しています。
麻雀は、戦う相手がいます。
相手の危険牌やすでに捨てられた牌の枚数といった外部環境の問題まで考慮するとどうなるでしょうか。
問題がより複雑になり、完璧な判断はより困難になります。
この世界に、完璧な判断ができる人や完璧な製品を作れる人はいません。
何かしら失敗や欠陥があるものです。
一代で大きな企業にした孫正義CEOでも、2020年3月期決算では1兆円越えの営業損益の赤字を出しています。
iphoneのメーカーであるAppleも、スマホやパソコンのOSには不具合やバグが必ずあります。
その都度、OSのアップデートをしています。
世間が認める優れた人、企業でも間違いをしてしまうんです。
そもそも人間なんて風邪を引くだけでも、パフォーマンスががくんと下がります。
感情的になったときなども、そうです。
それに加えて、「人からもっと評価されたい、認められたい。」「嫌われたない」といった承認、所属欲求みたいな欲を満たしたいがために、間違った判断、行動をしている人がいます。
だから、「間違いをしてはいけない。完璧なことをしなければならない。」というのは、アホな考えです。
間違いを許容、想定した上で、判断や行動をしていく。
間違いがあったら、修正を加えていって、ゴールにたどり着く。
これがあなたのするべき思考、行動です。
完璧という概念は捨てましょう。